建設業界
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【書評】ゼネコンマンが働き方を変えたきっかけとなった「千円札は拾うな。」について

tantan
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はじめに

自己紹介

僕はスーパーゼネコンに勤める,30歳男です.22歳の頃に味わった大きな挫折から立ちなるために読書を始めました.

建設業の働き方を変えることに興味があり,読書で得た知識を日々実践に移すのが好きです.現在はDX系の部署で会社を変えるために日々奮闘しています!

本を選んだ理由

この本と出会ったのは,2016年8月でした.自分を変えたい!と思い手当たり次第に読書をし始めた頃です.

2024年になった現在でも仕事や生活において常に心がけておきたいと思っている1冊です.残業を減らす・成果を出す・変化を歓迎するにはどうすれば良いか?まさに今の建設業に必要なポイントがたくさんあります.

著者「安田 佳生」さんについて

経歴と実績

1965年大府生まれ.1990年に株式会社ワイ・キューブを設立した.マーケティング戦略や広告制作,人材採用などを中心に,奇病向けのコンサルティングサービスを提供していた.2007年には売上高約46億円にまで成長した.就職人気ラン器具では,並み居る大手を抑えて16位に食い込んだことがある.

しかし,2011年に民事再生法の適用を申請し,負債総額40億円で倒産した.

現在は境目研究科・安田佳生事務所・株式会社ファーマーズ・インク(BFI)代表取締役として活躍されいる.

本書について

本の概要

「これはこうするもの」「こうやれば得をする」そんな既存の常識にとらわれたあなたの固い頭を解き放ってくれる、新しいビジネスバイブルがついに登場です。  累計35万部を超えるベストセラー『採用の超プロが教える~』シリーズで話題となった、著者のユニークな戦略や経営哲学、そして人材育成に対する考え方。その根幹にあるものはこれだったのかと、読む人は目からウロコ。見えてる人には見えている、新しくて本質を突く内容に、思わずうなってしまうはずです。若いビジネスマンや経営者はもちろん、ひとりでも部下を持つ人ならぜひ読んでほしい一冊。頭の固い上司のデスクに、こっそり置いておくのもいいかもしれません。

https://www.amazon.co.jp/%E5%8D%83%E5%86%86%E6%9C%AD%E3%81%AF%E6%8B%BE%E3%81%86%E3%81%AA%E3%80%82-%E5%AE%89%E7%94%B0-%E4%BD%B3%E7%94%9F/dp/4763196804

本のテーマ

既存の常識にとらわれなず成果を出すためにはどうすれば良いかがテーマとなっている.普通に生きていたら思いもしないようなアイデアや手法がこれでもかと盛り込まれている.目から鱗が落ちるような発見ができるような本だ.

構成とスタイル

「時間」「お金」「人材」「本質」に着目した4つの章から成り立っている.

各章には「残業をやめれば給料は増える」や「彼氏は彼女がいる人の中から選ぶ」など,えっ?と思ってしまうような魅力的な節がたくさんある.どれも著者の経験をもとに,事例紹介を交えてわかりやすく説明してくれている.

特に気になったポイント

残業をやめれば給料は増える

中途半端に足りないと,人は「休日出勤すればなんとかなる」と思ってしまう.そして,実際に休日出勤でなんとかなってしまう.これがいけないのだ.

頑張ってもどうにもならないとわかると,人はがむしゃらに頑張るのをやめ,頭を使うようになる.

仕事時間を大幅に削減しながら,成果を維持するには,何かを「劇的に変える」ことが必要となる.

人間は,暇ができると自然と「考える」ようになる.ヒマだからといって,テレビも見ず,本も読まず,ただじっとしていろと言われたら,人間は何かを「考える」ようになるのだ.

成長とは何か?

成長とは,「自分を捨てる勇気」よ言ってもいい.

成長できる人は,間違った階段を上がらなかった人ではない.間違えたと気づいた瞬間に,躊躇せずに今いる階段から飛び降りることができた人なのだ.

自分でできることは自分でしない

外注できる仕事をどんどん振っていくと,社員は「社員でなければできない仕事」に集中し,同じ勤務時間でより大きな成果を生むようになる.「考える時間」ができ,成果を出しながら新しいものを生み出す社員も現れてくるだろう.

男性アイドルの頂点は髪型でわかる

飲食店が常連客を獲得したい時は,三十歳前後の男性に最もいいサービスをするのだという.なぜなら男性は三十歳ぐらいの時に気に入った店にずっと通い続ける傾向が強いからだそうだ.

男性は女性より変化に弱い.

男性はそのことをきちんと自覚して,常に意識的に屁化を取り入れていかないと,,すぐに安心できるところに固まってしまう.そして,一度固まってしまうと,周りのアドバイスを受け入れられなくなるので,ますます変化しにくくなってしまう.

即決にこそ意味がある

やるかやらないかという時は,それが新しいものであればやる.今やっていることを続けるか続けないかという時は,それが今までずっとやってきたことならやめる.

自分の考えと建設業への応用

とりあえずやってみたこと

僕の長所は得た知見をとりあえず即実践してみることです笑.この本を読んで僕がやってみたことは大きく以下の3つです.

  1. 残業をしない
  2. 自分じゃないとできないこと以外しない
  3. 勇気を持って自分を捨ててみる

やってみた結果

実践に移したのはゼネコンに入社して4年目の頃だった.それまでは現場の工事係として日中は現場に出ずっぱり.写真を撮ったり,立ち合いをしたり,作業の調整をしたり,資材の手配をしたりしていた.夕方やっと事務所に戻り,そこからパソコンに向かって内業を始める.この先の工事の資材発注や計画,図面の確認や必要書類の整備をする.月々の残業時間は80時間だ.当時は会社に怒られる残業上限時間が80時間だったらからだ.

4年目になると日中現場に出なくて良い役割になった.同時に現場の戦力としてあまり期待されていなかった.工務として現場の計画や必要な図面・数量の整備をすることになった.僕は少しやる気を失ったのである.同時に早く帰って筋トレしようと思った.

筋トレをやり始めると平日2日は必ず19時までに家に変える必要があるとわかった.現場から家までは歩いて10分もかからない距離だった.必然的に週2回は18時30分には事務所を出ることにした.筋トレをする日は絶対に帰りたい.このまま1人でやってたら終わらない.じゃあどうするかを必死で考えた.

働き方改革の一環で外注先がたくさんあった.完全遠隔で仕事をお願いできる会社や,社内の現場支援部署,現場にいるCADOPさんに加えて,バイトの人を雇ってくれていた.今までもそういった外注先はあった.だが,全然仕事をお願いできていなかった.むしろ,「なぜこんなにも補助してくれる人を用意しているのに,お前らはお願いしないで残業をしてるんだ」と怒られるぐらいだった.理由は「お願いする方が手間がかかる」「自分でやらないと不安」「成果物をチェックしたり,場合によっては修正する方が大変」とぐだぐだいっていた.

筋トレの時間を確保するために残業をやめるためには,考え方を劇的に変える必要があった.まさに本書で言われている,「頑張ってもどうにもならないとわかると,人は頭を使うようになる」である.その結果とにかく外注することを心がけた.書類のシュレッダー・インデックス作り(いまだに紙を多用している・・)・キングファイルの解体・CAD図面のPDF化をはじめとして,ありとあらゆる業務を人にお願いした.お願いするかどうかの基準は「自分にしかできないかどうか」だった.現場に出て専門工事業者さんと打ち合わせをしたり,工事の大きな計画や方針を立てて,現場に反映したりするのは自分にしかできない.じゃあ打ち合わせに必要な資料の作成や,定期的に行われている会議の資料印刷は自分じゃなくてもできる.とにかく外注した.

結果として5年目の1年間のCAD業務依頼件数は同年代の社員平均の3.5倍だった.残業時間も他の社員平均の6割程度に減らすことができた.そして,同期よりも1年早く昇級することができた.

そして筋トレも2年以上の継続ができた.ずっとひょろひょろで細かった自分が,作業着のサイズをMからLに変えるほど成長できたのである.勇気を持って今までの自分の仕事のやり方を捨てて,挑戦した結果だと思っている.体の変化ができたこと自体も今までの自分を捨てられたと思っている.

元々,誰もやらなかっことを成し遂げたいという野望を持っていた.業務の中でこんな方法にしちゃえばいいんじゃないかとか,これってやらなくてもいいんじゃないかと色々と考えるタイプだった.周りに言ってみると大抵「それは無理だろう」と言われる.悔しかった.確かに今の自分には何か大きなことを成し遂げることはできないかもしれない.ただ,できることはある.小さなことから始めていくのが大事だと思う.筋トレはまさにその小さな小さな「できるわけない」ことだったのである.自分の中の貴重な成功体験まで積むことができたのである.

6年目になるタイミングで希望を出していた,ICT・DX系の部署に異動することができた.現場にいた頃にできなかったことを今少しづつできている.建設業の働き方を変えて,魅力ある業界にしたい.そして僕が現場でお世話になった職長さんや職人さんたちがこれからも,いきいきと働ける会社にしたい.会社に入社してくる新入社員が,長時間労働や古い習慣によって,体を壊したり現場が嫌になったりして,働けなくなるなんてことを絶対に無くしたい.

今までの慣習を変えることは相当大変なことだ.なぜなら人は皆変化を嫌うからである.今の部署でもこの本から得た知見を実行に移している.まずは自分が周りに対して「して見せる」ことから始めている.いつか会社全体を大きく変えるそのために.

本書から学ぶ,建設業に必要なマインドとは

本書を読んで,実行に移した僕が思う,建設業に必要なマインドは

  1. 自分じゃないとできないこと以外しない
  2. 人に頼む前提で仕事をする
  3. 仕事の効率を上げるから残業が減るんじゃない,残業を減らすから効率が上がる

僕は不真面目な一面を持っている.一回やった業務をもう一度やるのが大嫌いだ.だから自分の業務についてマニュアルを作っている.作業も可能な限りデジタルで行うので,途中のメモもデータとして残している.なぜなら,次は人にお願いしたいからだ笑.

スーパーゼネコンの社員は高学歴が多い.皆頭がとてもよく,すごく真面目だ.だから全部自分でやらないといけない,人に仕事を頼むのはサボっているようだと思ってしまう人もいる.ただ,実はそれは別に勤勉でも真面目でもなく,ただの怠慢であると思う.

我々社員の時給は高い.それは派遣社員やバイトの方に比べてだ.じゃあ同じ仕事をするのに,自分でやるのと人にお願いするのだとどちらが安くできるだろうか.間違いなく後者だろう.会社としても社員に高い残業代を払わなくても済む.結果として会社の利益向上につながっている.頼まれた人も,仕事の経験を積むことができたり,工事について深い理解をすることができたりと,チーム全体の力を上げることができる.社員は空いた時間を自分にしかできない業務や,考えるための時間として使ったり,早く帰って人生を豊かにするための行動ができる.精神的にも肉体的にも楽だ.長い目で見るとそれはいつまでも健康で楽しく働ける状態と言えるだろう.会社としても楽しく働いてくれる社員がいてくれた方が良い.

じゃあ,誰にも頼まず自分だけで仕事をしていたらどうだろう.残業時間だけがふえて,心身ともに疲弊していく.周りの成長もない.最悪の場合,体を壊して働けなくなってしまう.突然人がいなくなると,残された人は結構大変なことになる.一番大変なのは,専門工事業者の方々だ.現場だと結構お金のやり取りで人同士の口約束なことが多い.担当社員が変わってしまうと,今までのやり取りができなくなってしまい,職長さんが困っていることを見かけたことも少なくない.結果として,一緒に働く工事業者のかたに皺寄せがいってしまうのだ.こんな会社と働きたいと思ってもらえるだろうか.会社としても損失が多いと思う.周りの人もせっかく自分が働きにきているのに,「仕事を頼んでもらえない」としょんぼりしてしまう.

結論

建設業は多くの人の力を合わせることで,不可能とも思える工事を成し遂げることができる.まだまだ働き方改革は進んでいる途中だ.2024年度からは残業規制がついに建設業にも適用される.今までの働き方を嫌でも変えないといけない.今までの自分を捨て,新しい自分に成長するために.仕事もそうだが,家族や友人との大切な時間を確保するために.建設業に夢や希望を持って入ってきてくれる,若手社員たちのために.この本を読んで,実行に移して,少しづつでも行動を変えて行って欲しい.自分の中の限界や常識を打ち破った時,あたらしい世界が見えてくるはずだ.

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ABOUT ME
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土木技術者
2018年大手建設会社へ入社 2023年4月より内勤への異動を命じられる アパートを借り、一人暮らしする費用を賄うためにブログを始める 好きなもの ・猫 ・コーヒー ・ミニマリズム ・読書 ・筋トレ ・BMX ・散歩
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